- ワンポイントレッスン
サブロウ「受容体って、よくでてきますが、どういうものかよくわかりません」
からだは、細胞でできているっていうことは知っていると思う。受容体は、細胞の表面 にあるのじゃ。
ユキエ「のじゃって、いつもと感じがちがう」
細胞は、大きさも形もいろいろなものがある。でも、基本的なところは共通していて、どれも細胞質と核とよばれるものででできている。そして、細胞の表面は、細胞膜という脂質でできた膜で囲まれている。
水を入れた水そうに油を1滴たらしたときを想像してごらん。
油が水面に拡がって薄い膜ができるよね。細胞膜はちょうどそんなふうに細胞をおおっている。外側と内側との境界線になっているといってもいいかもしれない。
細胞膜には、タンパク質でできた粒がところどころにはまりこんでいる。この粒は、細胞の外にある物質と結びつくはたらきをする。これが受容体だ。
しかもそれぞれの受容体は、きまった物質としか結合できないようになっている。ホルモンと結合する受容体は、ホルモンとしか結合しないし、アセチルコリンと結合する受容体は、アセチルコリンとだけ結合する。 鍵と鍵穴の関係によくたとえられるよね。
ユキエ「ヒスタミンも、同じですか」
そうなんだ。ヒスタミンが放出されると、ヒスタミンとちょうどぴったり結合できる形をした受容体があって、ヒスタミンはその受容体に結合する。
ヒスタミンと結合した受容体は、ヒスタミンがきたことを細胞内に伝える。すると、細胞内では、何十種類という酵素が次々と活性化する。エネルギーが発生したり新しい物質がつくられたりする。それらがひとつひとつの細胞にいっせいに起きるんだ。
ユキエ「鍵盤が押されると、内部の装置に伝わって、音として反応する。ピアノみたいですね」
ピアノでは、ふたをしめると鍵盤を押すことができなくなる。受容体も同じ。ヒスタミンの作用をおさえたいときはふたをすればよい。
ユキエ「そのふたにあたるものが抗ヒスタミン薬なのじゃ、ですね」