- ワンポイントレッスン
音楽がひとつひとつの音からできているように、生きものも細胞からできている。
私たち人間の体では、細胞は60兆あるといわれている。基本的なつくりはどの細胞も同じで、肉眼で見えないくらい細かい。
しかし細胞の形はいろいろあって、中には目で見えるものもあったり(卵子)、1mものびているものもあったり(神経細胞)、その種類は200をこえる、といわれている。
ひとつひとつの細胞は、細胞膜という薄い膜で覆われている。細胞膜は、細胞内に物質を取り込んだり分泌したり重要な役割をになっている。
植物の細胞では、細胞膜のさらに外側に、細胞壁が取り囲んでいて補強している。細胞壁は動物の細胞には見られない。
細菌にも細胞壁がある。抗生物質の多くは、細胞壁の合成をさまたげることで、抗菌作用をもつ(バシトラシンなど)。
細菌のなかまにマイコプラズマがいる。大腸菌の10分の1ほどの大きさで、ウイルスよりは大きいけれど細菌よりは小さい。ふつうの細菌にはあるのに細胞壁がなく、細胞膜がむき出しになっている。このため細胞壁をこわすタイプの抗生物質では効果がないことになる。
肺や気管支に付着すると、人間の免疫系がマイコプラズマの細胞膜に過剰反応してしまい炎症を起こすことがある。
これがマイコプラズマ肺炎で、のどの痛みや、熱(39度をこえることも)、痰のからむ咳、などの症状がでる。
特に、熱が下がったのに何週間も咳がなおらないのが特徴。冬に限らず夏にも流行する。小さいうえに(血液検査で診断する)薬もききにくい。
インフルエンザ(こっちはウイルスが原因)の季節だけど、マイコプラズマ感染にも気をつけよう。