- ワンポイントレッスン
医薬品の副作用は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法により、「許可医薬品が適正な使用目的に従い適正に使用された場合においてもその許可医薬品により人に発現する有害な反応」と定義されています。この定義について、受講生がよく質問してくることは
[2]人と限定しているが、どうして動物ははいっていないのか。動物に発現したときは副作用といわないのか?
という点です。では、このことについて考えてみましょう。
【1】
医薬品は厚生労働大臣から製造販売業の許可を受けてはじめて製造販売することができるし、さらに品目ごとの承認も受けなければなりません。厚生労働大臣によって許可され個別の承認を受けた上で、いわば合法的に製造された医薬品のことを許可医薬品といっているのです。たとえばネット上で売買されている、「1週間で30㎏やせた!キノコを原料に開発された驚異の医薬品。限定販売!」といった、非合法の商品は許可医薬品ではありません。使ってみたところ逆に1週間で30㎏太ってしまったとしてもそれは副作用とはいわないよ、ということです。
「食べた~い、でも痩せた~い」貴方、気をつけようね。
【2】
動物の病気に対する治療にも、当然医薬品が使われます。薬事法第2条第1項で確かめることができますから、時間があったらチェックしてみて。ではそのような医薬品を使用したことによって、ペットに有害な反応が現れてしまった。仮に死んでしまったとします。それは副作用といわないのでしょうか。「医薬品副作用被害救済制度」というのが、登録販売者試験の第1章と第5章に出でくるよね。これは、医薬品の副作用による被害者を救済するための制度なんだ。そしてその被害を救済するかどうかの判断には、さっきの定義文が使用されています。
「許可医薬品が適正な使用目的に従い適正に使用された場合においてもその許可医薬品により人に発現する有害な反応」 この条文に当てはまるケースについて医療費、障害年金、遺族年金などが支払われるわけです。ペットが医薬品の副作用によって死んじゃった。だからといって、医療費とか、まして遺族年金をくれっていうのはやっぱり…。いくらかわいいペットだからといってもね。
というわけで、定義文には動物君が入っていないのです。ごめんね、ルビーちゃん。