- ワンポイントレッスン
ユキエ「質問いいですか。過去問にあったのですが、血液凝固因子ってどういうものなのですか。出血したときに、血液をかためる役割をしているというのはなんとなくわかるのですが、血小板とのちがいがよくわかりません。」
なるほど。
たしかに血小板も、出血したときに重要な役割を果たしているのだったね。
血液凝固因子の前に、まず血小板について復習してみるとわかりやすいかも。
血小板のはたらきについて知っている人は?
サブロウ「血管が傷ついたとき、集まってきて傷口をふさぐはたらきです。」
その通り!
このときできたかたまりを血小板血栓とよんだりする。
血栓がふたをして血管が修復される。しっかし、できた血栓が離れて細い血管に詰まってしまうとかなり危険。心筋梗塞とか脳梗塞とかを引き起こしてしまうからね。
血小板は、血栓をつくるだけではない。
血管が大きく傷ついて、血液がどっと流れ出てしまったときは、自分でかたまるだけではおさえきれない。そこで、酵素を放出する。
この酵素によって、血漿中にある何種類もの凝固因子が次々と順番に活性化していくのだからおどろきだ。 いいかい。凝固因子をⅠ、Ⅱ、…とするよね。血小板の酵素によってまずⅠが活性化する。次に、活性化したⅠによってⅡが活性化する。さらに、活性化したⅡによってⅢが活性化する…というような反応がいくつもいくつも続いていくということなんだな、これが。
ドミノ倒しみたいなものをイメージすればいいかもしれないね。そして最後にフィブリノゲンが活性化してフィブリンになる。
フィブリンはねばねばした糸みたいに(キミは納豆かい)、赤血球や血小板にからまって血のかたまりを作り、血餅(けっぺい)というものになる。血餅が流れ出た血を止める、というわけ。
ユキエ「ということは…。血液凝固因子は、血漿の中にある。しかも何種類も。そして、出血したときケッペイを作るはたらきをする。」
そういうこと。そのうちの1つでも欠けると、血液は固まることができないことになるのさ。(実際、8番目または9番目の因子が欠けていることがあり、それが血友病。)
これでわかったかい。血小板と血液凝固因子のちがい。
サブロウ「血小板は赤血球や白血球と同じ血球のなかまだけど」
ユキエ「血液凝固因子は血球ではない。血漿の成分で、血小板によって活性化される。」