- ワンポイントレッスン
口腔と鼻腔は、奥の方でつながっているのだけど、何というところでつながっているのか、わかるかい。
ユキエ「口腔は消化器系で、鼻腔は呼吸器系」
サブロウ「その両方にある器官といえば…」
ユキエ「咽頭です」
そうだね、いい推理。
口と鼻は咽頭を通してつながっている。だから、同じものに対して反応することがある。
食べ物の風味というのもそうだと思う。味を感じるのは舌だけど、それと同時に食べ物からただよう香りに対して鼻も感じている。味と香りがいっしょになって食べ物の風味となっている。
鼻がにおいを感じるしくみについて、見てみよう。
鼻腔の天井にあたる粘膜に嗅細胞(きゅうさいぼう)がある。5㎠ほどの大きさっていうことだから、ペットボトルのフタぐらいかな。鼻腔全体からみるとほんの一部分だよね。その嗅細胞が、気体となったにおいの分子を感じ取るはたらきをしている。
嗅細胞は束ねられて嗅球につながり、嗅球からの神経が脳につがなっている。おもしろいのは、においを伝えるこの神経が、感情や記憶に関係する脳の部位と同じところにつながっていることなんだ。においをかいで、感情がわいてきたり、記憶が呼び覚まされたりすることってあるよね。
ユキエ「香水の香りで気分がぜんぜんちがってきたりします。それは、においを感じるところと感情をコントロールするところが、脳の同じ場所にあるからなのですね」
知らないうちに、自律神経の活動やホルモン分泌まで、においに影響されていることもあるくらいなんだよ。 嗅細胞は、ヒトでは退化して小さい部分にしかないけれど、イヌの場合もっと広い範囲に拡がっている。そのためイヌの嗅覚はヒトの数千倍発達しているといわれている。
サブロウ「数千倍もですか」
ユキエ「においをかいで、食べ物の生産地まで見分けているかもしれませんね。今日の牛肉はオーストラリア産だなとか」