- ワンポイントレッスン
脳の中にもいろいろな神経伝達物質があります。ドーパミンもその一つです。
ドーパミンは、運動の調節、感情、意欲、学習に関係しています。好きな音楽を聴いて心地よい気分なるのは、ドーパミンが放出されることによります。
ある説によると、モーツァルトはドーパミンが欠乏する体質だった。ドーパミンの放出を促す音楽を作曲することで、自分の症状を改善しようとした。
なるほど。
ドーパミン不足が進行すると、指先がこまかく震えてしまう。
力を抜いた状態で、関節を他の人が動かそうとしてもスムーズに動かない。動作の開始が困難になり、動作もゆっくりしたものになる、などの症状が現れるようになります。
このような病態は、報告した医師の名前をとって、パーキンソン病とよばれます。
ドーパミンの欠乏―――→パーキンソン病
このような状態を治療するには、どうすればよいだろう。モーツァルトのように、音楽を作曲し続けるしかないのだろうか。
ドーパミンは脳内で、モノアミン酸化酵素によって分解されます。モノアミン酸化酵素をMAOともよびます。(まちがっても魔王って書かないでね)
ドーパミンが欠乏するのはMAOがどんどん分解してしまうから。
MAOがなければ、ドーパミンは分解しないでそのまま残り、不足も解消されるはず。
では、MAOをなくするには?
こうして発見された薬剤が、モノアミン酸化酵素阻害剤(MAO阻害剤)です。
MAO阻害剤は、その名の通り、MAOを抑えるはたらきをします。MAOを抑えることで、ドーパミンの分解を防ぎます。
MAO阻害剤―→MAOを抑える―→ドーパミン分解されない
MAOが分解するのはドーパミンだけではありません。
鼻炎薬に配合される塩酸プソイドエフェドリンも、MAOによって分解されます。
ではMAO阻害剤と、塩酸プソイドエフェドリンを併用すると、どうなるだろう。
MAO阻害剤―→MAOを抑える―→塩酸プソイドエフェドリン分解されない
分解されず、いつまでも体内に残ることになり、血圧を上昇させるなど副作用が強く現れることになります。
モノアミン酸化酵素阻害剤で治療を受けている人は、塩酸プソイドエフェドリンを含む薬の併用には注意しなければならないのはこのためでーす。