- ワンポイントレッスン
犬にならよくあるけれど、狼にかまれたことがある人はめったにいないのでは。
実際にかまれたことがないと、傷口がどのようにできるか想像しづらいですが、狼にかまれたような皮膚症状が現れたら、全身性エリテマトーデスかもしれません。
顔にも頬から鼻にかけて左右対称に赤いしみができますが、狼の傷口というよりも羽を広げた蝶のような形に見えます。
かゆみもいたみもなく、鼻にまるで蝶が止まっているような形が特異的なので病気の早期発見に利用されているくらいです。
外から入り込んできた病原菌などの敵に対して、攻撃を加えて自分を守るのが免疫だよね。
ところがどういうわけか、自分の体内の細胞に対して免疫がはたらいてしまい、自分自身を攻撃していろいろな病変を起こしてしまうことがあります。
このような病気を自己免疫疾患といます。
わかりやすくいうと、自己免疫疾患とは、番犬として飼っていたはずの犬が、突如、飼い主に対して襲いかかるようになってしまった状態のことです。(ひどい、それはない。)
全身性エリテマトーデスも自己免疫疾患の一種だといわれています。
解熱鎮痛成分としてよく使われるイブプロフェンの副作用に、無菌性髄膜炎があることは覚えているよね。
全身性エリテマトーデスの人は、この無菌性髄膜炎が生じやすくなっているので、使用には注意が必要です。
全身性エリテマトーデスの患者数は、関節リウマチに次いで多く、1年間に人口10万人に対して、10人くらいの割合で発症しています。
女性の患者が圧倒的に多く、男性の10倍近くになります。
主症状として、発熱、倦怠感、痛み、しびれ感などがくりかえされます。
皮膚や粘膜の症状として、全身に犬、ではなく狼に噛まれたような紅斑ができ、紫外線が当たると悪化します。
障害が腎臓に進展することが多く、放置すると腎不全となり透析が必要になることもあります。