- ワンポイントレッスン
感染性の胃腸炎が、この10年で最も流行した2006年に次ぐ勢いで拡大しているという。その多くは、ノロウイルスが原因だ。
感染のピークは12月で、年が明けると急激に減っていくのが例年のパターン。しかし今年は変異ウイルスが多く、免疫がない人が多いため1月以降も感染が広がる気配がある。
みんなはだいじょうぶ?
ノロウイルスは、海水中でカキなどの二枚貝に蓄積される。
汚染されたカキを十分加熱しないで食べることにより体内に取り込まれ、食中毒症状を発症する。球の形をしていて、大きさも他のウイルスと比べてかなり小さく、小型球形ウイルスとよばれていたこともあった。
たしか去年(2012年)の5月ぐらいには、O157による食中毒がよくニュースになっていた。
こちらはウイルスではなく、腸管出血性大腸菌という細菌だ。
この細菌が付着した牛肉やレバーなどを食べて体内に入り、さらに血液中に入りこむと、血便や腹痛などの胃腸炎症状にとどまらず、腎不全(腎臓の尿細管が破壊されることによる)や急性脳症(神経細胞の障害による)など重い合併症を引き起こすこともあるので強敵だ。
病気の原因になる微生物、という共通点はあるが、ウイルスと細菌にはずいぶん違いがある。細菌は1個の細胞からできている生物だ。細胞膜から栄養分を通過させ、細胞内でタンパク質を合成し、生命を保っている。
これに対して、ウイルスには細胞がない。
わずかに遺伝物質(核酸)とそれを取り囲んでいるタンパク質(カプシド)だけからできていて、単独ではなにもできない。他の生物に寄生して、その細胞が持つエネルギーや栄養分を勝手に利用して増殖を繰り返している。細胞は破壊され、ウイルスは次の細胞に拡散していく。大きさも、ウイルスは細菌の10分の1ていどしかなく、電子顕微鏡(光のかわりに電子を使って観察する顕微鏡)を使ってはじめて見ることができる。
年末年始は、人が移動する時期だ。それにつられて微生物も広い範囲に広がっていく。インフルエンザ(これはウイルス)もこれから本番を迎える。
体に気をつけて受験勉強していってね。