- ワンポイントレッスン
植物を原料とする生薬をみると、使用する部位が根茎となっているものがある。
アレルギー性鼻炎に使われるサイシンも、ウスバサイシン(ウマノスズクサ科)の根茎からとられたものだ。ウスバサイシンの場合、地上部には腎機能障害を引き起こす毒物が含まれる。薬用になるのは根茎だということが特に重要だ。
でも、根茎ってどういうものか実際に見たことある人はそういないと思う。だいいち根茎っていう名前がまぎらわしいよね。根なのか茎なのかはっきりしてほしい。そうだ、今日は天気もいいので、校庭に出て観察してみよう。
植物の茎は、ふつうは上の方へどんどんのびていく。でもそれとは反対に、土の奥へ奥へと入りこんでいく茎をもつものもある。そのような茎を地下茎とか根茎とかよんでいるんだ。土の中を這っていて根のように見えてしまうかもしれない。しかしところどころに小さな葉やその痕跡があるのを確認しよう。
ジャガイモを思い出してごらん。あれは実は根茎が養分をたくわえて丸くふくれあがってできたものなんだ。このように地下茎が肥大したものを、塊茎(かいけい)とよんだりする。
同じイモでもサツマイモは塊根(かいこん)。つまりこっちは地下茎でなくって、根がふくれてできたものでこういう。たしかに味がずいぶん違うけど、茎と根の違いなのかもしれないね。
ついでにタマネギは、鱗茎(りんけい)という。根茎に葉が集まって球の形になったもの。土の中にあるのに、ひとかけらひとかけらが葉っぱ(しかも緑でない)だなんて、意外すぎる。
どうして茎を地下にのばすのだろう。考えてみれば不思議だ。
植物が言葉を話せるのなら、聞いてみたい。でもたぶん答えはこう。地上部が食べられたり刈り取られたりしても生き残るため。そして冬の寒さから身を守るため。
じゃあみんな、寒くなってきた(それにおなかもすいてきた)ので教室に戻ろうか。