- ワンポイントレッスン
今日も前回に続いて校庭で授業しよう。
「やった。おつまみはポテトチップに枝豆に…」
おいおいみんな、花見じゃなくって、授業だからね。
それに桜前線はもう少し先。
桜といえば、生薬の原料としても使われている。桜のどの部分か知ってる人いる?
「たしか、葉…」
ひょっとして桜餅のことをいいたいのかい。生薬というには、美味しすぎるよ。
「皮だと思います。」
よし。そうだったね。
オウヒっていう生薬、覚えているかい。
去痰作用を持っていて、市販薬にも使われているし、桜皮エキスという名前で、医療用でも使われる。その名の通り、桜の樹皮からとられたものなんだ。
ブロンとかブロチンとかきいたことあると思うけど、これらも同じものだよ。
「オウヒって、桜の皮のことだったのですね。でも、桜の皮がどうして去痰作用をもつのですか。」
それがよくわかっていない。
「えっ、そうなんですか。」
キキョウやセネガといった植物にも去痰作用があるんだけど、これらにはサポニン類とよばれる成分がふくまれる。サポニンは、シャボンのようにアワ立つ性質があり、粘り気を溶かして痰を切れやすくしてくれる。
「ねばねばこびりついた油をセッケンで洗い流すっていう感じですか。」
そんな感じ。
でも、オウヒはサポニンを持たない。非サポニンなんだ。気管支の運動を活発にしたり気道の粘膜を増やしたりするのでは、といわれているんだけど作用の仕組みはよくわかっていない。
「気管支を活発に、ですか。でも桜の樹のそばにいると、気管支っていうより消化器の方が活発になってきちゃった気がしまーす。」
そういえば、のども渇いてきた。
「やった。おつまみは、ポテトチップに枝豆に…」