- ワンポイントレッスン
皮膚に直接塗ることで、化膿・湿疹・痛みなどを抑えるぬり薬。ぬり薬としてよく使われる軟膏とクリームについての記事です。
◆軟膏とクリームってどこが違うの?
どちらもベースとなる成分(基剤)に有効成分を混ぜ合わせて作られています。
軟膏とクリームでは、異なる基剤が使用されており、この基剤の違いによって、たとえ有効成分が同じでも、使い心地や刺激性などに違いが生まれます。
◆軟膏(疎水性基剤)の特徴
・白色ワセリンなどの油性基剤がベース
・刺激が弱く、肌の弱い人にも向いている
・カサカサ乾燥した患部にも、ジュクジュク浸潤した患部にも広く使用できる
・保湿力が高く、皮膚を保護する効果がある
・クリームに比べるとベタつきが強い
◆クリーム(親水性基剤)の特徴
・油性基剤に水分を加えたもの
・さらっとなめらかで、のびが良く、ベタつきにくい
・水で簡単に洗い流せる一方、汗などでも流れやすい
・軟膏に比べ刺激が強いため、傷のある部位やジュクジュクした部位には適さない
◆ぬり薬使用の際の注意点
・使用前後によく手洗いする
・薬剤を容器から直接指で摂らず、綿棒やヘラで一度手の甲などに必要量を取ってから塗る(自分の手や患部から細菌や水分を混入させないため)
・保管の際にはしっかりふたを閉めて、湿気の少ない場所に保管する
◆入浴後がいいの?
一般的に入浴後に使用することが最も効果的です。その理由は、薬の種類によって様々です。
・湿疹薬:入浴により血行が良くなり、身体が温まることでかゆみが増しやすい状態にあるから
・保湿薬:入浴で肌の保湿因子が流れ落ち、乾燥しやすい状態にあるから
・抗菌薬:入浴によって患部が清潔な状態にあるから
・水虫薬:入浴により皮膚が柔らかくなり、薬が浸透しやすい状態にあるから
◆他の剤形
・ローション:広範囲に伸ばしやすい。軟膏やクリームが塗りにくい頭髪部等や、汗をかきやすい夏などに適す
・スプレー:軟膏やクリームが塗りにくい頭髪部等や、背中等の手の届きにくいところに適す。手を汚さずに広範囲に使用できるが、使用量が分かりにくく、正常な皮膚へも散布する危険性がある
・ジェル:炎症部位がかさついている場合や、脂漏性皮膚炎等に適す。浸潤した患部へは適さない
★市販薬では、使用する前に製品の説明書(添付文書)に記載された用法・用量を確認してから使用しましょう。
監修 長沢利枝講師