- ワンポイントレッスン
一般用医薬品のインターネット販売が認められる最高裁判決がでた。(2013年1月11日)
ネット販売ができるのは、これまで3類だけだったが、この判決によって、1類と2類でも全面的に解禁されることになった。
この判決について、条文を見ながらみんなでくわしく考えてみよう。
薬事法第36条の6に、
「第一類医薬品を販売授与する場合には、厚生労働省令で定めるところにより、薬剤師が書面を用いて、必要な情報を提供しなければいけない。」
「第2類医薬品を販売授与する場合には、厚生労働省令で定めるところにより、薬剤師または登録販売者が必要な情報を提供するように努めなければならない。」
とある。
この条文でわかることは、1類と2類について、情報提供をしなければいけないということ。(正確にいうと?ユキエ。そうだね、1類は義務、2類は努力義務だ。すばらしい。)
それから、3類については何もふれてはいないこと。また、どんな方法でどんな内容を情報提供すればよいのか、それは厚生労働省令で定められるのだ、ということ。
では、厚生労働省令はどのように定めたのだろうか。あっ、ここにある。新施行規則159条の15から18だ。長い条文だけどポイントはこの部分。サブロウ、読んでみて。
「情報の提供は、対面で行わせること。」
すばらしい。みんなもいいかい。情報提供は対面で、となっていることを確認しよう。
インターネットでは、対面での情報提供といえるだろうか?これについて意見のある人はいる?エリ。
「いえないと思います。」
いいだろう。みんなも賛成のようだ。
これまで1類と2類についてインターネットでの販売が認められなかったのは、このような対面を義務づける厚生労働省令があったからなのだ。また3類については、情報提供の必要性が条文上ないので、規制されていなかったのだ。とても興味深い。
今回の最高裁判決では、ネット販売を禁じることになるこのような厚生労働省令について、薬事法の範囲を逸脱しており、無効だと判断をしている。いいかい。無効なのは、薬事法ではない。そうではなくて、厚生労働省令の方だ、というところまちがわないようにしよう。判決はこうもいっている。薬事法は原則として対面に限るべきだとか、ネット販売を規制すべきだとの趣旨を明確に示していない。安全面でネット販売が対面販 売より劣るとの知見も確立されていない。
思い切った判決だ。これについて、意見のある人はいる?…(白熱授業はさらに続くのでした)