- ワンポイントレッスン
年末が近づいてくると、いろいろな分野のランキングが花盛り。
もし薬にも知名度ベストテンというものがあったとしたら、確実に入る薬のひとつに「アスピリン」があるのではないだろうか。
それどころか、ベストスリーをねらえるくらいはいくかもしれない。
アスピリンという名前はそれくらい有名だ。でも、アスピリンについて、私たちは何を知っているだろう。
アスピリン秘話、というのは大げさだけれど、アスピリンについて少しくわしく調べてみよう。アスピリンというのは、実は商品名で、ドイツにあるバイエル社という製薬会社がつけたものだ。正式には、アセチルサリチル酸という。
昔々。どれくらい昔かというと古代ギリシャのころ。
そのころすでに、ヤナギの樹皮に発熱や痛みを和らげてくれる効果があることが知られていました。
ヤナギにはサリチル酸が含まれていて、これが薬効をもたらしているのでした。
しかし、サリチル酸は、胃への刺激が強すぎて、とても飲めたものではない。そこで、刺激を緩和させるために作り出されたものがアセチルサリチル酸です。
サリチル酸からつくられた薬は、アセチルサリチル酸だけではない。サリチル酸メチルもそう。強い刺激と鼻をつくようなにおいがあって、飲むには向かないが、皮膚からの吸収が優れているのが特徴で、シップや塗り薬として使われている。
内服と外用の違いはあるが、どちらももとになっているのはサリチル酸なんだ。
サリチル酸→アセチルサリチル酸(アスピリン➩内用
サリチル酸→サリチル酸メチル➩外用
アスピリンが作られたのは1897年で、100年以上の歴史を持っていることになる。
それなのに今でもアスピリンについて新しい発見があり、論文も数多く発表されて続けている。消えていく薬も多い中で、こんなこと珍しい。
脳血管障害や心筋梗塞のときに血栓抑制のために使われたり、川崎病という乳幼児の急性熱性発疹性疾患への有効性が認められたり。
OTC以上に、医療での活躍の場は大きいものがある。
知名度だけでなくて、活躍度トップテン入りも確実?