ユキエ「80年代の映画に、血液が青色になるというＳＦがあります。 青くなるのはフィクションで、ありえないと思うのですが、白血球は白いっていうくらいです。血液が白くなることはあったりして。」

サブロウ「でもほんとに白血球は白なのでしょうか。」

　白という名前は、単に赤血球との対比でつけられたもので、白いからというわけではないと思う。顕微鏡で拡大して見ても、どっちかというと黄色っぽかったりするしね。
　前回の続きになるけれど、白血球について学習を進めるよっ。
白血球にはいろいろな種類がある。

サブロウ「好中球、リンパ球、単球です。」

いい感じ。

ユキエ「その他にもアレルギーに関係するものもあるって、聞いた気がするのですが。」

くわしくいうと、そうだね。まず顆粒をふむくものと、ふくまないものがある。
　顆粒をふくむものには、好酸球、好塩基球、好中球があり、顆粒をふくまないものには、リンパ球と単球があります。

サブロウ「顆粒ですか。」

そう。顆粒にはヒスタミンなどがふくまれている。
　免役反応はこれらの白血球が入り乱れて行われる複雑な反応だ。こんなふうに。
遠い遥かなる昔、銀河系に病原菌が侵入した、なんてね。

　発見したのは好塩基球。すばやくスタミンを放出、血管の透過性を高める。これによって、白血球が血管からどんどん送り出されていく。はじめに好中球と単球（マクロファージ）が侵入現場に動員されて、食作用によって敵を分解する。好中球は数時間で自滅し、殺菌作用のあるリゾチームをばらまく。残ったマクロファージは、敵の情報を抗原としてリンパ球に伝える。リンパ球は特定の抗原に対してだけ反応することができる抗体を作り、2回目以降の侵入にそなえる。敵の侵入から数週間…。戦闘現場には無害になった病原菌の山。処理するために好酸球の作業が開始される。ふう。 白血球は色素（ギムザ染色という）で染めると、いろいろな色に染色される。好酸球は赤く、好中球はピンクに、そして好塩基球とリンパ球は青くなる。染まりかたの違いが観察されて　はじめて、いろいろな種類があることが発見されたっていうこと。

ユキエ「ギムザ染色で青に…。血液が青になる可能性は、なにも映画の世界だけではないのかも…。」